低血圧とは、血液が体中に流れるだけの力がないため、血圧が正常値の範囲を超えて下降した状態をいいます。このような状態が持続して日常生活に支障をきたす場合を『低血圧症』といいます。
WHOの血圧分類の基準では、最高血圧が100mmHg以下、最低血圧が60mmHg以下を「低血圧」としていますが、最高血圧が85〜110mmHgであるものを低血圧と判定する医師もいます。
なぜこのように医師によって判断基準が異なるのでしょうか。
低血圧で重視されるのは血圧値ではなく、それによって起こる不快な症状なのです。低血圧が持続しても健康は保たれているということから、一般的に低血圧を病的な状態と考えることに疑問がもたれています。そのため、様々な判断がなされるのです。
一般的に低血圧の人は、体格は痩せ型で顔は青白く神経質な人が多いようです。仕事や運動に関しても、集中力に欠けてスタミナがなく、すぐに疲労を感じます。特に、春から夏にかけては疲れやすく、全身倦怠感や眠気を訴え、冬は寒がりで冷え性です。
また1日のライフサイクルは朝寝坊で午前中は調子が出ず、午後になって徐々に調子が出てくる宵っ張りということが特徴です。
不規則な生活や睡眠不足が続くと、身体のリズムが乱れて、不眠や便秘、下痢などの症状が起こったり、食欲不振にも陥ります。そして、自律神経に障害が出て体内時計のリセットが出来なくなり、ますます体調が悪くなってしまいます。
明らかな原因があって低血圧を起こす場合を除いては、むしろ低血圧になりやすい遺伝的な体質と考えてよいでしょう。
同時に多種多様な不定愁訴(一定しない苦しみや辛さなどを訴えること)が起こりますが、他の病気が原因で低血圧を引き起こしたり、急激に血圧が下がる場合を除けば、重大な結果を招くことは稀です。また、若い時は低血圧であっても、中年以降に正常血圧になることもあります。
●低血圧が引き起こす症状
1. 脳貧血症状・・・めまい、立ちくらみ、頭痛、肩凝り、疲労、脱力感
2. 心臓症状・・・・・動悸、呼吸困難、胸の痛み、不快感、脈の結滞(脈が飛ぶ)
3. 胃腸症状・・・・・胃もたれ、食欲不振、お腹が張る、吐き気、便秘、下痢
●血圧の測り方
血圧は1日中一定ではありません。
血圧は自律神経(交感神経)の緊張・弛緩によって変動するので、リラックスできる自宅などで次の順序に従って測ります。
1. テレビ・ラジオ等の電源を切り、騒音のない部屋の中で測ります。
2. 大きく2・3回深呼吸をして、気持ちを落ち着けてください。
3. 血圧計を作動させ、血圧を2回測り、その平均をとります。
4. 朝と夕方の2回測り記録します。最低1週間の記録結果を参考にします。